ごめん。ぜんぶ、恋だった。
これでも俺は女子から黄色い声をかけられてきたほうだからわかるけど、モテてるという自覚はあるに決まってる。
そういう同級生の中でも秀でている男は仁菜の中学にもいたけれど、仁菜とは交わらない場所にいた。
けれど、速水はそうじゃない。
交わるな言うほうが無理なほど、ふたりは近い場所にいる。
……ガタッ。
まだ胸がギリギリとしてきて、おもむろに席を立った。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「部屋にスマホ忘れたから取ってくる」
適当なことを言って、リビングから離れた。