ごめん。ぜんぶ、恋だった。
「……ねえ、お兄ちゃんは高校卒業したらどうするの?」
いつまでも同じ場所にはいられない。
今日の誕生日パーティーはすごく楽しかったけれど、あと何回みんなで集まってやれるんだろうと考えたら切なくなった。
「進路はまだ決めかねてるけど、家は確実に出るよ」
「それって……一人暮らしするってこと?」
「うん」
まさかそんなことを考えていたなんて知らなかった。
「俺はずっと家族を大切にしておくことはできないと思うから」
お兄ちゃんが外灯に照らされているオレンジ色の影を見つめながら、ぽつりと呟く。
もしかしたらお兄ちゃんは、私とお母さんがリビングで話していた会話を聞いていたのかもしれない。
「……お兄ちゃんはお父さんやお母さんのことが嫌いなの?」
「そんなわけないだろ」
「じゃあ、なんで大切にできないなんて、そんなこと言うの?」
声を大きくすると、お兄ちゃんが私の顔をまっすぐに見てきた。
そんな射るような瞳で見られると……また胸の鼓動が少しずつ速くなってくる。