ごめん。ぜんぶ、恋だった。
それから数日が経った。
お兄ちゃんがなんであんなことを言ったのか気になて、なにをしていても考えてしまう。
そのせいもあって、私は体育の授業中に飛んできたバレーボールで突き指をしてしまった。
出張中の先生に代わって、手当てしてくれたのは、速水くんだった。
「ありがとう。でも速水くんまで授業を抜けることはなかったのに」
「だってボールを飛ばしたの俺だし」
練習試合はコートを挟んで男女別で行われていた。
たしかに、速水くんの打ったサーブが私のところに飛んできて、受け止めようと手を出した瞬間にケガをしたのは事実だけど、ぼんやりとしていた私にも原因はある。
「本当にごめん。責任取るから」
「はは、責任って。ただの突き指だから大したことないよ」
速水くんは私の右手の人差し指を冷やして、丁寧にテーピングまで巻いてくれた。
「最近、元気ないよね」
「……え?」
「悩みごとでもあるの?」
速水くんは本当に鋭いというか、私のことをよく見ていてくれてる気がする。