ごめん。ぜんぶ、恋だった。


「こんなこと言ったら失礼かもしれないけど、仁菜子ちゃんと橋本先輩って似てないよね」


それは今まで周りから散々言われてきた言葉だ。

そのたびに「私はお母さん似なんだよ」と誤魔化してきたけれど速水くんになら……本当のことを言っても大丈夫かもしれない。


「実は私とお兄ちゃんの血は繋がってないんだ」

「え……?」

「小学生の時に両親が再婚して兄妹になったの」

「そう、だったんだ……」

速水くんは少しだけ戸惑っているようにも見えた。


「普通の兄妹ってどんな感じなのかな。こんな風にお兄ちゃんのことで悩むなんてやっぱり変だよね」

「家族のことで悩んだりするのは変なことじゃないよ」


……家族。

ってことは、お兄ちゃんが言っていたことは家族として私のことが好きって意味だったのかな。

むしろ、それ以外なんてあるはずがないけど。


速水くんに話したことで少しだけ気持ちがスッキリした。

速水くんはもちろん私とお兄ちゃんが本当の兄妹じゃないことを誰にも言わないと約束してくれたし、なにかあればいつでも相談してと言ってくれた。


……本当にいい人。

付き合ってる人がいないことが不思議なくらいに。

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