ごめん。ぜんぶ、恋だった。
「体育の時にバレーボールで突き指しちゃって」
「は?どうせぼーっとしてたんだろ」
「誰のせいでっ……」
「?」
言いかけた唇を止めた。
お兄ちゃんのことを考えていたから突き指したなんて絶対に知られたくない。
そもそもお兄ちゃんがあんなことを言わなければ私だって気にすることはなかったのに。
なんだか悩むことを通り越して、お兄ちゃんにイライラしてきた。
なにを考えてるのかわからなすぎてムカついてくる。
「なにふて腐れてんだよ」
「うるさい。もう行くから!」
お兄ちゃんが拾ってくれた教科書を奪い取った。
「ちょっと待て」
グイッと腕を掴まれて、私の足は止まる。
「お前さ、スカーフ結ぶの下手くそすぎじゃね?」
たしかに私のスカーフは他の人に比べると、いびつで曲がっている。
「つ、突き指してるからだよ」
「突き指する前からだろ」
「う……」
図星すぎてなにも言い返せない。
なんで私って、こんなに不器用なんだろう。お兄ちゃんはなんでもできるというのに、私は情けないくらい全部が中途半端だ。
「ったく、貸せ」
お兄ちゃんは私のスカーフをシュルッとほどいた。