ごめん。ぜんぶ、恋だった。
仁菜に避けられていると感じてからは、どうしたら許してもらえるのか考えていた。
目も合わせない。口も利かない。同じ空間にいないようにされているなら、本を借りて返却期限を守らなければ仁菜のほうから寄ってくるんじゃないかって思った。
結果として成功したけれど、仁菜は俺との距離感を一定に保つように近づいてこなかった。
「今日、母さんたち仕事で遅い日だろ。ちょっとゆっくり話そう」
「………」
仁菜は返事をしない。
あえて母さんたちがいないことを強調したうえで、話そうと伝えたことには意味がある。
本当に俺のことが嫌いになったのなら、仁菜はふたりきりにならないようにするだろう。
それも踏まえて、仁菜がリビングで待っていたら……俺は自分の気持ちを見せようと。
隠すのが限界になってきている想いを伝えて、とことん嫌われてしまおうと考えていた。