~君が教えてくれるなら~
また途中で演奏をとめて朝陽くんはこちらを覗きこんできた。
「で、羽柴はなんでサボったの?」
「えっ…何となく。」
嘘をつく理由もなく私はそう答えた。
「へぇ。ヤンキーだ。」
「じゅ、授業中に屋上で弾き語りしてる朝陽くんの方がよっぽどヤンキーじゃん!」
少しムキになった私に朝陽くんは「確かにな」ってふっと笑った。
黒くて柔らかそうな髪が太陽に当たって少し茶色くみえて、片方から見えるピアスがちょっと大人っぽくて、ベースを持つ手がスッと綺麗ででも大きくて、流した前髪の奥から私を見つめる切れ長で綺麗な瞳に私は不覚にもドキッとした。
「まー俺は自主練ってことにしといてよ。ここで会ったのは秘密な?」
いたずらっ子のようにニッと笑う朝陽くん。
「うん!いわない!」
「助かるわー。」
そういうとベースをケースにしまい始めた。
「練習終わり?」
「うん。さすがに次の授業はでないと怒られる。」
立ち上がってよっとベースを背負う。
身長も高いのね…。
「羽柴も次はサボんなよ~。」
「さ、サボらないし!てかサボったの初めてだったし。」