~君が教えてくれるなら~
「…じゃあね、羽柴~。」
屋上の扉の前までいくと朝陽くんはくるっと振り向き軽く手をあげて去っていった。
彼がいなくなって間もなくして授業終了のチャイムが鳴った。
「やば!私も行かなきゃ」
美琴たちのいる場所に戻ると3人は相変わらず遠山先輩を見て騒いでいた。
私が帰ってきたことに気づいた美琴が「生成~!!どこ行ってたのさ!!」と問い詰めてきた。
その時、『屋上』と言うのを私は少し躊躇った。
___『ここで会ったのは秘密な?』
何だかちょっと教えたくないような気がして「穴場探ししてたー」と咄嗟に嘘をついた。
「いいとこあった??」
「ううん~ここが一番バレなさそう(笑)」
「だっよね!遠山先輩見れるしね!」
ごめんね皆。
本当は屋上にいたんだ。そこで初めて見る男子がいてね?私たちよりサボりなれてる感じでベースを弾いて歌を歌ってたの。
その人のこと皆にもめちゃくちゃ話したいけど。
何だかまだ内緒にしておきたいんだ。
今はまだ。二人の秘密に。