ご利益チョコレート
『大声上げろよ』
国島さんの言葉が頭の中に浮かぶ。
腕を引かれ、部長がわたしを抱き締める。
全身鳥肌。
「い……イヤーっ!離して!」
拘束から逃れようと暴れると、両腕を引っ張られてブラウスのボタンが一つ弾け飛んだ。
バンッと乱暴にドアが開き、肩で息をする国島さんが飛び込んできた。
「部長!何してるんですかっ!」
わたしを部長から引き剥がし、背中に庇ってくれる。
「国島……いや、違う……これは西林さんが誘ってきて……」
しどろもどろの部長の言葉に必死で頭を横にふる。
「以前からオレと多田は西林から相談受けてましたよ。やたらボディタッチが多いってね。気を付けてたのにオレがいない隙を狙いましたね?」
部長が蒼白になる。
多田さんが警備員を伴って現れた。
「あーあ、部長、現行犯ですね。クズですね。あっちで社長がお待ちなんで行ってください」
警備員さんがヘナヘナと座りこんだ部長を立たせて部屋を出て行く。