ご利益チョコレート


良かった……。
間に合った……。


安心してボロボロと零れる涙を拭いもせず突っ立っているわたしの肩に、自分のスーツのジャケットを国島さんがかけてくれた。


「偉かったな、よく叫んだ」


遠慮がちにフワリと頭をひと撫で。


詩史ちゃーん!と多田さんがわたしを国島さんのジャケットごと抱き締める。


国島がねー、宴会場所に行ったら詩史ちゃんがいないのに気が付いて、おまけに部長も遅れるって連絡があったって課長が言うのに胸騒ぎがするって言い出してねー、走って会社まで戻ってきたんだよーと多田さんが教えてくれた。


「大事な後輩に傷付けられてたまるか」


怒ったように、照れ臭そうに、国島さんが言い放つ。


多分、あれから国島さんのことが気になりだして。

頼れる先輩に対する尊敬が恋心に変化して。



あれからずっと大切にしてきた想いだった。
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