ご利益チョコレート


「西林、オレはーーーー」


ピンポン、ピンポン、ピンポン。


何かを言いかけた国島さんをインターフォンの乱打が遮った。


一旦は無視しようとしたけれど、乱打が止まない。


「何やねん!!」


明らかに怒っている国島さんが足音も荒くインターフォンまで歩いて行く。


『ちょっと!俊祐!詩史ちゃん連れ込んでるでしょ!開けなさい!』


多田さんだ。


「帰れ!」


またピンポンの乱打。


舌打ちと共に国島さんが鍵を開けた。


これはまさかの修羅場!?
どうしよう、どうしようーーーーーー!



リビングのドアがバンッと外れそうな勢いで開き、多田さんが姿を見せる。


思わずソファーから立ち上がり、怪我をしていることも忘れて床に土下座した。


痛い。
足が痛い。


心が痛い。


「ちょっ、詩史ちゃん!?」


「すみません!すみません!国島さんは悪くないです!」


「西林、お前何言うてーーーー」
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