ご利益チョコレート
これはあかん。
こんなことされたら諦められない。
2番でもいいなんて思ってしまう。
そんな自分が堪らなくイヤで国島さんの腕の中から逃げ出そうと暴れるけれど、簡単に押さえられる。
「心配せんでもオレが好きなんは西林だけや」
耳元で優しく囁かれた。
「多田はオレの兄貴と結婚すんの。義姉になる」
背中を宥めるようにトントンとされた。
「ごめんな、西林がオレを諦めるとか言うからちょっと意地悪してしもた」
もう多分顔はぐちゃぐちゃだ。
わたしの顔が触れている国島さんのスーツの肩のところもぐっしょりだ。
「ホンマに好きやで」
甘い囁きが耳をくすぐり、イタズラな指が首筋を撫でた。
「……ん……!」
思わず声が漏れてしまう。
わたしの顔を見た国島さんがぶっと吹き出し、ポケットからハンカチを出して涙と鼻水を拭ってくれた。
至近距離で見つめられて腰が引ける。
多田さんはそうでもないなんて言ったけれど、わたしの目には十分イケメンに見える。