ご利益チョコレート
だんだんと顔が近付いてきて、未だ少し混乱しているわたしの唇に国島さんの唇が触れる……と思ったところで頬をびよんと引っ張られた。
「ほんで、朝のあのマッチョは誰?」
「あ……ありぇは……」
離して、と訴えるように手首を掴むと国島さんの手が緩む。
「ふ、双子の兄です」
「双子!?」
「え、栄養を全部持ってかれて、ちっちゃい時からウチはサイズ感がおかしいんです」
国島さんが少し考えて、それから鮮やかに笑った。
「うん、いや、お前もちゃんと栄養ついてる。オレ的には問題なし」
視線が一瞬首の下に向けられ、あれ、と思ったときには唇が重ねられた。
「やっぱ可愛いなあーー」
多田さんの言葉が不意に頭に甦る。
けれど何度も啄むようなキスをされ、幸せに酔いしれていたわたしは上手く誤魔化されてしまった。
国島さんのわたしの身体の一部への執着に、わたしが僅かに引くのはまた後日のお話ーーーー。