ご利益チョコレート
残念な国島くん
新入社員に可愛い子がいると、周囲の、主に男の間で噂になったのは4年前。
毎年誰かしらは話題になるので、その年も特段気にも留めなかった。
4月半ば、新人研修を終えて配属されてきたのがその話題の彼女だった。
「西林 詩史です。よろしくお願いします!」
ツヤツヤの白くて丸い頬。
耳の下で揃えられた黒髪。
こぼれ落ちそうな大きな瞳。
恐らく150センチあるかないかの小さな身体に細い手足。
あれ?
大卒って聞いてたけどまさか高卒だったか……?
「……よろしく。教育係の国島 俊祐です。分からないことは何でも聞いてな」
そう言うとほっとしたように、顔を綻ばせる。
ああーーーーー。
これは噂になるのが分かる。
取り立てて美人というわけではないけれど、引き付けられる笑顔。
ゆっくりながらも与えられた仕事は確実に正確にやり遂げる努力家、間違えたときは直ぐに謝る素直さ。
部内でも、それ以外でも、評価は高く、可愛がるヤツは多かった。
その筆頭がオレの未来の義姉だ。
「もうね、すごく心配なわけよ」