ご利益チョコレート
「伊吹なんて嫌いやー!モゲたらええのに〜〜〜っっ!」
「お前、仏さまの前で何言うねん!」
後頭部をパシンとはたかれる。
地味に痛い。
「何や、大好きな先輩にカノジョでもおったんか」
「……ゴリラのくせに察しまでええなんて狡い」
「いや、ゴリラ関係ないし」
わたしが傍らに置いていた紙袋をヒョイと伊吹が取り上げた。中を見て溜息をつく。
「お前、2,3日前からこの袋お供えに紛れ込ませてたやろ。まさかのチョコレートか」
「朝晩、お父さんと伊吹がお務めしてるやん。ご利益あるかと思うやん。もう神頼みでも縋りたい乙女心やん!」
「仏さまや、アホ!」