ご利益チョコレート


「リア充なんかあっち行け!大体なんでそんなゴリラに可愛いカノジョが出来るねん!世の中間違うてるわ!」


「お前、双子やぞ。似たようなもんやぞ」


「わたしはゴリラちゃうもん!伊吹が栄養分全部持ってくからわたしがこんなちんちくりんやんかー」


もう勢いがついて伊吹に当たりまくりで止まらない。


「いや、お前巨乳やしロリ顔やし、一部限定で人気あるぞ」


巨乳なんて!頭悪そうやし、肩は凝るし、痴漢にはよく合うし、身長に対してアンバランスでちっとも有難かったことなんかない。


多田さんみたいにスラリとした美人が良かった。
国島さんの隣に似合うようなスタイルが良かった。


気が付けば、胡座をかいた伊吹の太腿に顔を埋めておんおん泣きながら今日のことを話していた。


なんだかんだ言って伊吹は優しい。
やりたいようにさせてくれる。


生まれてから26年間、わたしと一緒にいて諦めも多分にある。


ひとしきり泣いてふっと正気に返り、傍らのチョコレートに目を遣る。
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