忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
忍がやって来ると、夏樹がいた。
「あ、父さん」
「夏樹、どうしたんだ? 」
「朝社員が出勤してきたら、待合室にあの赤ちゃんが置かれていたんだって」
「赤ちゃんが? 誰が置いたんだ? 」
「それが判らなくて。防犯カメラに写っていないんだって、産まれてから2ヶ月か3ヶ月くらいかな? みんな抱っこしても、泣かないで喜んでいるんだよ」
忍は赤ちゃんを見に行った。
「あ、会長おはようございます。見て下さいよ、とってもかわいい赤ちゃんですよ」
女子社員が忍に赤ちゃんを見せた。
見せられた赤ちゃんを見ると、忍はドキッとした。
眠っている赤ちゃんの顔が、フェアディーに似ていた。
プルッとした唇は、あの日、重なり合ったフェアディーの唇に似ている。
「ちょっと抱かせてくれる? 」
女子社員から赤ちゃんを受け取ると、忍は胸がキュンとなった。
眠っていた赤ちゃんが目を開けた。
まだぼんやりと開く目で、ゆっくりと忍を見つめる赤ちゃん。
じーっと赤ちゃんが忍を見つめる…。
「この子…」
赤ちゃんを見ていると、忍は何かを感じた。
「とりあえず、警察に届けなくてはな」
忍は赤ちゃんを抱いたまま歩き出した。