忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
その後、忍は警察に赤ちゃんの事を届けた。
全く手掛かりがないため、どうするかと話になり
「ハッキリ判るまで、我が家で預かってもいいですか? 」
と言い出した。
手続きを踏めばいいと言われて、忍は大喜びした。
捨て子のようだが、着ているベビー服は高級品のようで可愛い。
傍に置いてあった荷物には数着の着替えと、オムツと粉ミルクが入っていた。
どれも手作りで、とても丁寧に縫われている。
会議があるため、忍は一旦会社に戻った。
赤ちゃんを暫く預かると言い出した忍に、夏樹は驚いていた。
しかし赤ちゃんを抱いている忍が、なんだか幸せそうで。
ずっと悲しそうにしていた忍を思うと、暫くの間でも一緒にいることはいい事なのかもしれないと思った。
会議の間は、夏樹の妻である空に赤ちゃんを見ててもらう事にした。
今は専業主婦の空は、会議が終わるまで1階の待合室で赤ちゃんを見ている事にした。
赤ちゃんを抱いている空は、とても穏やかな顔をしている。
会議が終わって忍が降りて来た。
「あ、お父さん」
「赤ちゃんはどう? 」
「はい、今ミルクを飲んで寝たところです」
空は忍に赤ちゃんを渡した。
「見ててくれて有難う」
赤ちゃんを受け取ると、忍はとても嬉しそうに微笑んだ。
「お父さん、本当に1人で大丈夫ですか? 赤ちゃん、夜泣きもしますし。お風呂に入れるのも、大変ですよ。まだ首もしっかり、座っていませんし。この先、寒くなって来ると熱を出したりします」
「心配ないよ、これでも夏樹と一樹を育てて来たんだから」
「でも、1人では何かと大変ですから」
「大丈夫だって」
荷物を持って、忍は歩き出した。
空はちょっと心配そうに、歩いて行く忍を見ていた。