窓縁と悪魔



少しして 男は気づいたようにハッとして私を見た


「君!こんなに雨が降っているのに外にいちゃいけないじゃないか!風邪をひいてしまうよ はやく中にはいるんだ!」


窓縁から男は消え 代わりにタタタタっと階段を素早く降りる音が聞こえてきた


そして塔の玄関口と思われるところから飛び出してきて 私の手をひっぱり塔の中へ招いた


手にフワフワとした1枚の大きなバスタオルを持って。


「すまないね 僕ってば気づくのが遅くなってしまって…」


そう言いながら男は私の髪の水分をバスタオルで優しく拭き取ってくれる


「すでに温かなお湯でお風呂も沸かしてあるから先に入っておいで 案内するよ」


そう言われて風呂場に私は案内された


外から見たときのイメージよりも 塔の中は意外と広くて色々な部屋があるようだった


「すまないね、使用人も雇っていないからあいにく女性用の衣服がないんだ 嫌かもしれないが僕ので我慢しておくれ」


そうして私は男に1枚のカッターシャツとズボンを渡された


そして 風呂に入ってからそれを着て思ったことがある


借りた服がそれほどぶかぶかでは無いからだ むしろいい感じな気さえする


確かにあの男は華奢っぽい感じではあるな とは思っていたがまさかここまでとは…!


どこか女として負けた気が……いや 気にしないでおこう






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