雨の日が大好きな君
四人目。
「…ぇ、ねぇ!ねぇってば!きいてるの!?」
はっ!っと我にかえった。「え!?あぁ…大丈夫。なに?なんだった?」

小雪が怯えている。「…大丈夫?」
「うん、ちょっと目まいがしただけ。なんだったの?」
「うん、あのね、金魚!やっと一匹すくえたよ!」
小雪は、金魚のはいったお椀をおしつけて言った。「おぉ!すげぇじゃん!まけたくねぇな~!」
といって、僕たちはまた金魚すくいを始めた。

そういえば、今日の小雪の浴衣は、この金魚が抽象的に描かれた、紅い浴衣だった。
そう、あの時のリビングと同じ、紅い色をしていた。
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