雨の日が大好きな君
【一万発の花火があがります】
アナウンスがながれた。
ここの夏祭りの花火は、数が多く、とてもきれいなことで有名なのだ。
たくさんの見物人が河原へと降りて行く。
小雪は僕に何かを企んでいるような顔をして言った。「きて!こっちにいいところがあるの!」
突然僕の肩を、強い風がかすめた。と、同時に後ろに引っ張られた。
「おい!」
返事はなにも返ってこない。完全に風になっているようだ。

その風に引っ張られること数分、僕たちは息を切らしながら、ゆっくりと歩き始めた。
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