雨の日が大好きな君
「どこかで着替えなきゃね!」
小雪は僕をみつめて言った。
「どうせホテルとかいうんだろ?」
「あ、ばれた?」
はにかんだ笑顔がかわいかった。
「ば~れ~ば~れ~。よくあるだろ?ほら。シャワー付の漫画喫茶」
小雪は、また寂しそうな顔をしたが、しょうがないなという顔にもどして、漫画喫茶に行った。

「よくあるだろ?」と行ったものの、僕は漫画喫茶なんて使った事がなかった。初めてつかうので、内心不安だったが、つかってみるとなかなか快適だった。

冷めたからだを温めて、スッキリした。
いままでは雨で小雪の化粧がグチャグチャになっていたが、今はスッピンだ。しかし、これが意外とかわいい。
「なに?そんな人の顔じろじろみて~?」
覗きこんできたきれいな瞳。その純粋な目に吸い込まれそうで、すぐ目をそらした。「いや、小雪…意外とかわいいのな。」
小雪の頬が紅くなったのがわかった。
「なに~?意外とは余分です!」
「ははは!ごめんごめん!」
こんな会話をしてるうちにいつのまにか夜になっていた。
「ほんと、今日はなんだったんだよ。」
「うん。自殺しようとしてたら変な男がきたんだもん」
「変で悪かったな!」
「ははは!」

しばらくすると、二人は寝ていた。
そう。ねていた。

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