平然と嘘

「それでは、荒川 純也さんと
高畑 夕紀さんは、お帰りに
なられて結構です。
支払いは、遅れる事なく
速やかにお願い致します。」
と、言われて追いたてられた。

夕紀は、嬉しそうに
俺の腕を掴んできたが
俺は、その手を静かに外して
外にでた。

俺は、翌朝、自分の持っている
口座をすべて片山さんに知らせた。

そして、会社に借り入れを
お願いをした。
澪への慰謝料だ。

近日中には、下りることになり
澪に支払える。
(退職金の前借りとなる)
その間に片山さんから
財産の金額の連絡がきて
澪と等分された額を
澪に渡す事になった。

マンションの名義の変更を行う。
こちらも片山さんに行ってもらった
変更に多額の費用が
かかったが全て支払った。

あの日から澪の顔が頭から
離れなかった。
母親とも、ほとんど会話も
していない。
それだけ二人の怒りが深いと
わかった。

マンションにある俺の荷物が
実家に運ばれてきた。
それを引きとりに行き
母親と話そうと思ったが
母親は、一言も語らなかった。

本来なら、実家に帰ってと
なるだろうが、
母親からは、そんな感じは微塵も
受けない
二軒隣の夕紀の実家も
空き家になっていた。
どうしたのか夕紀に聞いていないが

その後も
澪も母親も
俺からの謝罪一切受付なかった。

もちろん、大和とも
話すことはなく
大和は、俺の母親の籍に入り
養子となった。
こちらも片山さんが行った。

俺は、本当に一人に
なってしまった。

その間も夕紀から
何度も連絡が入るが
俺は出ることができなかった。
出たいとも、思えなかった。
ばれるまで、あんなに
楽しく付き合っていたのに
あんなに愛しあったのに。

俺の方は、ひと月内に
全て完了して
片山さんから
完了の書類が届けられた。

俺は、離婚したことを
部長と総務課には
連絡をした。
部長からも総務課からも
良い顔をされなかった。

だが、離婚の保証人になってくれた
同期から、俺の浮気からの
離婚であるのが部長の耳に入り
それも同じ女と二度も
なぜ、そこまで漏れたのか
わからなかったが
部長から
「とても、残念だが
どこから、君の不貞の話が漏れるか
わからない、会社の信用問題にも
関わる。」
と、言われて
俺は、製造課長から
倉庫係に格下げ異動となった。
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