平然と嘘

弁護士の事務所に行ってから
二ヶ月が過ぎた。

あれから、純也と連絡が
とれていない
と、言うか純也が電話にでないし
LINEやメールも無視している。

まったく、なんなの?
体裁で離れてるの?
どうせ、直ぐに私の元に戻るくせに。
私は、純也の事ばかり考えていた。

すると、母から連絡がきた。
父と母は、私が叔母の家から
離れると、そちらに移り住んだ。

農家を手伝いながら
父は、工場で働いているらしい。

私は、両親の元に行った。
叔母の家に着くなり
父親から、殴られて
「なにすんのよ、痛いじゃない!!」
と、怒鳴ると
父親は、ワナワナふるえながら
外に出て行ったから
「なんなの?いったい!」
と、騒いでいると
母親から
「あんた、前に約束したのに
また、同じ事したんだね。
荒川さんと弁護士の片山さんから
連絡きたよ。」
「なんで?母さんの連絡先知ってたの?」
「前の時、知らせていたから。

なんで?なんでなの?
人様の旦那さんだよね?
一緒に居たかったら
別れてから来てくれ、と
なんで毅然とできないの?」
と、泣きながら話す母に
ただ、ただ、純也のお母さんと
別れた嫁が憎かった。
自分が一番悪いとか、考えもつかずに

ただ、ただ、むせび泣く母にかわり
叔母さんが
「人の道理に外れたことしたら
それは、自分に必ず
戻ってくるから。」
と、言ったが
私は、フンと、思っていたら・・・
叔母が
「父さんは、あの家を売ったお金で
あんたの慰謝料を払ったよ。
老後に貯めていたんだ。
母さんに苦労ばかりかけてきたから
老後は、農家をしながら
温泉行こうなって、言ってたのに。
夕紀よ、良い年なんだから
もっと、しっかり生きろ。
そんな年になって
両親苦しめて、情けなくないのか?
母さんも父さんも、電話口で
ひたすら、頭を下げていた。」
と、言われて
はじめて、涙が溢れた。

私は、母さんに謝ってから
叔母の家を後にした。

父や母の顔を
まともに見ることが
できなかった。
< 24 / 38 >

この作品をシェア

pagetop