どっちを選ぶ?

私は仕事終わりに、天王寺駅に向かった。
とりあえずJR駅の前で待っておけば、会えるだろうな。

でも向かってる間なんか、ほんまに心臓うるさかった。(笑)

もうバクバクして、ブスと思われたらどうしようとか、相手が年齢偽ってたらどうしようとか、とりあえず頭の中ごちゃごちゃ。


メッセージが来てみて見ると、迷ったって書かれてた。
神戸の人やもん、そら迷うよな、と思って少し罪悪感。

目印をきくと、セブイレの前にいてるって言われたから、やっぱりJRやなと思ってあたりを見回した。

服はどんなん?てきくと、白のシャツって返ってきたから、あ、あの人やってすぐわかった。


やけど、ずっと下向いて携帯いじってるし、顔わからんから余計ドキドキした。

深呼吸だけしてから、そっと近づいたら顔あげてくれた。


「太一くん?」

「こんばんは。」

(合ってた。よかったぁ。)

「こんばんは、ごめんなさい。迷いましたよね。」

「天王寺なんか久々に来たから迷ってもうた。こっちこそごめん。」

「全然!とりあえず居酒屋いきましょか。」

「うん、いこ。でもなんで敬語なん?」

「いや、いざ会うと緊張して。」

(想像通りのかっこよさにびっくりしてなんか言われへん。)

「なんやそれ。」

困ったように笑う太一くんを見て、心臓が余計ドキドキした。

(やめてー!不意の笑顔かわいいから!!)

「あっ、でも写真とは全然私違いますよね、ほんとすみません。」

「まあ、ちょっとな。けど俺もちゃうし全然。」

(くっそー、ちょっとなとか言われた。。)



居酒屋について、予約してた宇原ですって言うたとき(あ、本名で取っちゃった。)って思った。
まだやっぱり、警戒心は捨てがたい。


個室みたいな居酒屋で、注文はタブレットで。

すかさず私が注文して、すぐに飲み物がきた。


「乾杯。」

太一くんは1杯目ビール飲んでた。大人やなーって思った。

(そらそうか。6つ離れてるもんなぁ)

「どうしたん?じろじろ見てきて。」

「いや、6つも年上なんやぁって思って・・」

「えっ!?」

ビールを飲みかけてた太一くんがむせて、びっくりした顔で私を見てきた。

「25歳って書いてなかった?」

「あ、ごめん!それ間違いやねん。ほんまは18。」

「18!?!?」

あんまりびっくりしてくれるもんやから、お腹ちぎれるかなってくらい笑った。

「えぐいわ、7つ離れてるやん。」

「6つやろ?」

「いや、俺早生まれやから26の年やねん。」

「なるほどねえ、でも6も7も一緒やろ?」

「全然違うわ!明日香ちゃんが小学生の時、俺大学生やで!」

「うわ、ほんまや。犯罪やな。(笑)」

「ほんまに犯罪やわ。えぐい。」

出会い系の年齢設定、ほんまは、年上の人と出会いたかったからわざとしてたっていうのは、内緒。


そこから会話がほんまに楽しくて、深い話もたくさんして、いい気になってた。

ほんまのところ、調子にのってた。

この人と今日限りなんて嫌やなって思って、

「私ら付き合わへん?」

って口から大いなる願望がもう出ちゃってて
太一くんもだいぶびっくりした顔してたけど、私の方がほんまは内心びっくりしてた。(笑)


慌てて「お試しで!」なんて、フォローとも言えないフォローして、「三ヶ月間だけ、付き合ってみーひん?彼女、おらんやろ?今日だけってのもあれやし、、」

(まじで、言葉が止まらへん、早く何か言って!)


「・・・。」

「なんでなんも言わんの!」

「いやぁ、若いなと思って。(笑)」

「えっ、それってどっち?どういう反応??」

「いいよ。(笑)」

「え!いいの!?ほんまに!?」

「お試しやろ?ええよ。」


もうこの時はウハウハよ。(笑)
やばいやばい、まじでいいのって連呼してた。

嬉しさのあまり絶対始終にやけてたよなー。

こうなったら一軒目だけで帰りたくないわけで。

でもホテルはさすがに行く勇気も行く気もなくて、でもBARに行こって言うてくれたから嬉しかった。


「天王寺にBARなんかあるんや。」

「あるよ、Googleマップは最強やから。ほら。」

なんでGoogleマップのことをそんな自分が作ったみたいに自慢してるんやろって思っておかしくなって笑った。


太一くんとおる間はほんまにずっと笑ってた。

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