いつか誰かに恋をする………。

「あっ……澤先生。
祥兄…………じゃなくて…………
祥太先生。
…………………大きな声で………
どうかしました？？」

びっくりして、思わず『祥兄ちゃん』と呼びそうになる和花。

「どうしたは、こっちだぞ？
こんな時間まで、何をしてんだ？
こちらは？」

澤先生の話に

改めて男に視線を向けると………

「こんばんは。
和花さんの先生ですか？
私は、彼女の塾の講師です。
今日は遅くなったものですから………
駅まで送るところです。
駅にお母さんがお迎えに来られると言うことなので…………」

よく見ると

和花が最近通い始めた塾の袋を持っている。

「あぁ～
塾の先生でしたか………。
失礼致しました。
私は、彼女の担任教師です。
こっちは、彼女の叔父で……同じく教師です。
あまりにお若いから……デートの帰りかと心配しまして…………。
今、パトロール中なんですよ。」と

さっきとはうって代わり、フレンドリーに話し始めた澤先生。

ただ、俺と和花は…………

俺が叔父だと、さらっと言ったことに驚いている。

「ここからは、叔父である彼が連れて帰りますので………
安心して下さい。
先生は、まだ学生さんですよね？
明日も学校がおありでしょうから……
お引き取りください。
後、これは私個人の意見ですが…………
生徒と歩く距離にしては、少し近いように思いますよ！
誤解されたくなければ…………
注意された方がよろしいかと。」

人の良さそうな笑顔を浮かべているが…………

長年の付き合いから……機嫌が良くないことが伺える。