三次元彼氏。
彼女に何て返信をしようかと考えていたが、考えているうちにスマホを持つ腕が重くなって疲れて、ばたんとベッドに吸い込まれていった。
それとほぼ同時に、ぼーっとしていた頭もピークに達し、僕の意識は遠のいていった。
————“ピンポン”
玄関のインターホンが鳴った音で目が覚めた。
………ほのか?
重い体を何とか起こして、玄関に向かう。鍵を開けるとそこには、息を切らしたほのかが立っていた。心配そうに僕を見ている。
「宗ちゃん、顔赤い」
「え……?」
「宗ちゃん寝てて」
彼女は僕の肩をぐいぐいと押して中に入り、そしてそのまま僕をベッドに寝かせた。
「体温計持ってきたよ。宗ちゃん絶対熱あるよ」
「え……」
彼女はパンパンに膨らんだリュックから体温計を取り出すと、はい測って、と僕に体温計を渡した。
「宗ちゃんキッチン借り…え、どうしたのこれ」
見ると、彼女の目線の先には、昨日から床にそのままにしていたテキスト達。
「あ……濡れたやつ、乾かしてた…ごめん、そのまま……踏んでいいから…」
「何言ってんの宗ちゃん、いつもの宗ちゃんなら教科書踏めとか絶対言わない、やっぱり絶対熱ある」
彼女は全てのテキスト類を壁際に寄せると「キッチン借りるね」と、その重そうなリュックを持っていった。