三次元彼氏。
「薬飲んだし、着替えたし、ポカリはここにたくさんあるし、冷えピタも貼ったし……よし! 宗ちゃんは寝てください」
「はい」
僕はだいぶ元気になった気がするし熱も下がった気がするけど、起きていようとした僕を、彼女は強制的に寝かせる体勢にさせた。
「私はここで適当に漫画読んだりゲームしてるから。何かあったらすぐに言ってね」
「え」
ほのかは、さっきキッチンに持っていった大きなリュックを持ってきてそう言った。
「宗ちゃんの熱下がるまで心配だからここにいるよ。…あ、帰った方がよかった……?」
「いや、そんなことは思ってないけど……いいの?」
「うん、全然いいよ」
ありがとう、と言って僕は枕に頭を預けた。
「おやすみ、宗ちゃん」
「おやすみ」
目を閉じる。
……が、おそらく漫画を読んでいるのだろう、ページをめくる音がした。僕はそっと目を開けて、彼女の背中をぼーっと見ていた。
————「ん………」
………あれ、寝てた………?
目を開けると窓の外は薄暗くて、ベッドの隅に置いたスマホで時刻を見ると17時過ぎだった。……そんなに寝てたのか。
上半身だけ起き上がってみると、体は随分楽になっていた。これはきっと熱下がったぞ。