三次元彼氏。
8 冗談は言わないで
「やっほー久しぶりおじゃましまーす」
「ちょっ、え!? 待って、え? 何でいるの!?」
「疲れたー、何か飲み物ちょーだい」
「……」
突然やってきたその人は、僕の問い掛けなんて完全に無視して、ずかずかと部屋に入っていく。
「えー、宗の冷蔵庫何も入ってないじゃん、ちゃんと食べてんの?」
「…いや待って、その前に何でいるの? 大学は? ていうか何でスーツ?」
「何でって、就活だよ」
「就活……?」
「そーだよ、あたし今年大学4年だよ? 就活しないと来年からニートだよ」
僕は大学2年になった。
成績も上位をキープできたみたいで、難なく進級した。
単位が危ういと心配されていた早瀬も何だかんだで進級し、いつもの4人全員が無事2年生になれた。
新学期が始まって数週間経ったある土曜。
昼過ぎに突然玄関のインターホンが鳴り、誰だと思いながら開けるとそこには、正月に実家に帰った時に顔を合わせて以来の姉・舞香の姿があったのだ。
「いやー、ここらへん何もないね、コンビニしかないじゃん」
姉は、冷蔵庫から勝手に取り出した緑茶をコップいっぱいに注ぐと、それを一気に飲み干した。