三次元彼氏。
「ねえ宗、何かないの? おなか空いた」
「何かって…さっき残ってた材料で昼ごはん食べちゃったよ」
「ええー」
文句を言いながら、調味料と飲み物くらいしか入っていない冷蔵庫を意味もなく開ける姉。
「じゃあ買いに行こ。スーパーどこ?」
「ええ…僕も行くの?」
「当たり前でしょ。あんた全然ちゃんと食べてなさそうだし餓死されても困るから。ちゃんと買わないと。泊めてくれるお礼に、食材費はあたしが出してあげよう」
「餓死って……」
ホラさっさと立って、と僕の腕を掴みそのまま玄関へ。…まあどっちにしろこの後買い物に行く予定だったからいいか。
そしてそのまま、歩いて15分くらいのいつも行くスーパーに向かった。
「えーやっす! いいなあ、あたしの家の近くのスーパー高いんだけど」
言いながら、どんどん食材を手に取りカゴに入れていく。
「姉さん、使い道解んない野菜買わないでね」
「調べろ、文学部でしょ」
「文学部関係ないと思う…」
何を言ってもだめな気がしたので、僕は姉が次々とカゴに食材を入れていくのを黙って見ていた。
「宗、ケーキ食べる? ケーキ」
「え?」
「ケーキ屋でケーキ買わないからあたしいっつもスーパーで買ってんの」
「…そう」
食べる、何て答えていないのに、姉はチョコレートケーキをカゴに投入した。