三次元彼氏。
2 三上さん
「ガッキー財布忘れたあ」
「何でよ」
「解んない…」
………同じ学科だったのか…………。
次の日の昼休み、昼ごはんを買いに大学構内のコンビニに行こうと席を立ち、講義室後ろのドアに向かって歩き始めた時だった。
そのドア付近の席に、見知った顔を見つけた。
「近いんだから取りに帰ったらいいじゃん」
「ヤダ遠い」
「徒歩5分圏内でしょ何言ってんの」
「あ、昨日の人」
「!」
目が合った。
「…あ、早瀬の友達」
彼女の視線を追った天音さんも、僕に気づいた。
「こんにちは」
「ねーガッキーおなか空いたー」
「財布取ってきなよ待っててあげるから」
「ヤダ遠い」
「天音メシ行こー」
僕の後ろから、早瀬が天音さんに声を掛けた。
「えー待って、ほのかが駄々こねる」
「どしたん」
「財布忘れたからお昼買えないって、私に集ってくる」
「えー、何で忘れたの?」
「解んない…」
早瀬も天音さんも揃って眉を下げる。
「…あの、じゃあ、僕が買いましょうか? 彼女の昼ごはん」