三次元彼氏。
姉からもらった5千円で会計を済ませ、ほのかの家に帰る。
「ありがとう宗ちゃん、手伝ってもらって」
「全然。本当ごめん、姉さんがあんなこと言うから…」
「私は本当に大丈夫だよ。けど、舞香さんて、このへんに住んでたの?」
買ってきた食材を冷蔵庫に入れながら、おそらく彼女がずっと疑問に思っていたであろうことを訊いてきた。
「いや、全然違うところに住んでる。何かこの近くで企業説明会があるらしくて、昨日突然家に押しかけてきた」
「そうだったんだ……あ、舞香さん大学4年生か」
全ての食材を入れ終わると、ほのかは「宗ちゃんお昼までどうする?」と訊いた。
「え、どうしようかな…お昼の準備は手伝うつもりだけど」
「じゃあそれまでここにいてよ、舞香さんの話いろいろ聞きたい…!」
「え…い、いいけど…」
やったあ、と笑うと彼女はコップを2つ出して、宗ちゃん何飲む? と訊いた。
それからお昼の時間まで、姉の話をしていた。一体何が楽しいんだ……こんな話聞いてもつまらないだろ…と思うような話も、彼女は楽しそうに笑って「いいなあ、私もお姉ちゃん欲しくなってきた」と言うものだから、僕はいろいろな話を思い出しながらしていた。