三次元彼氏。
9 そういう顔は
「ほのか、今日夜ヒマ?」
「え…うん、どうしたの?」
「グループワークのみんなでごはん行かないかって話してたの、一緒に行かない?」
「えっ、ホント…! いいの?」
ある日の金曜。
3講目終了後の空き時間に、となりでほのかと天音さんがそんな話をしていた。ほのかは嬉しそうに「楽しみ!」と、声を弾ませている。
「あ…宗ちゃん」
「ん?」
「今日女子で夜ごはん食べに行くから、一緒に帰れないんだけど…」
急にほのかが僕を振り返り、何だか申しわけなさそうな顔をした。
「うん、いいよ。楽しんでおいでよ」
「ありがとう…!」
そんな、僕、行かないでって雰囲気出してたのかな……確かにいつも一緒に帰っているけど、束縛とか、そんな類のものは全然してないし。
「ほのかも行けるってー」
「えーホント! じゃあ講義終わったら店決めよー!」
「おっけー」
天音さんが後ろを振り返り、そこにいた女子グループに声を掛けると、楽しそうな声が飛んできた。
「じゃあ、宗ちゃん、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
講義終了後、楽しみで仕方ないといった表情のほのかは、天音さんと並んで女子グループに合流していった。