三次元彼氏。

「ほのか、水、飲める…?」

「ん〜……」

…そんなに酔っ払ったの………? いやでも天音さん、カシオレ1杯って言ってたよね…………?


「…ん、そー、ちゃ…」

彼女は手の甲を下ろしながら、ゆっくりと体を起こした。あまりにも体に力が入っていない感じでふらふらしていたので、僕は慌ててコップを、出しっぱなしにしていたテーブルに置き、彼女の体を支える。


「……そ、ちゃん……」

「っ、」

こんなに近い距離で上目遣いで、とろんとした瞳で僕を見つめるほのか。僕は思わず呼吸を忘れた。


「ん……」


次の瞬間、僕の思考回路は完全に停止した。

突然唇を寄せた彼女は、重ねるとたった一瞬で離れて、またベッドに横たわった。



……………な………な……………何……今の……………!?


彼女は今したことが嘘のように、気持ちよさそうに寝息を立て始めた。


「〜〜〜〜っ、」

……何だコレ、ちょっとヤバい…………

今彼女の横にいると、どうにかしてしまいそうな気がしたので、僕は慌てて距離を取る。

………お、落ち着け……落ち着け滝本宗一郎…………


キッチンでコップに水を入れ、それを一気に飲み干した。

それから、ベッドで眠る彼女を見る。


………あんな顔、さっきいた他の男に……見せてない、よね……………?

僕は心配になる反面、未だにドクドクとスピードを上げたままの胸の音が(おさま)る気配がなかった。



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