三次元彼氏。
10 かけがえのない日常
「宗ちゃん」
「ん?」
「おなか空いた」
とある日曜の昼。
ここ最近では、休みの日は予定が合えばどちらかの家で過ごすことが、僕達の間で定番になってきた。
もちろん外に出て、知らない街に行ったりごはんを食べに行ったりするのも楽しくて好きだ。
けど家は最高にくつろげる。一緒にごはんを作って食べたりできるのも楽しくて、最近は2人で家で過ごすことが多くなった。今日はほのかの家で1日過ごす予定。
「宗ちゃんはにんじん係ね」
「うん」
今日のお昼はカレー。おなかが空いたと言ったほのかは「今日は宗ちゃんとカレーが作りたい!」と、嬉しそうに冷蔵庫から食材を出した。
カレーなら夜ごはんでもよくない? と提案したが、今カレーの気分なの、とすぐさま返された。そして僕はにんじんを切る係に任命された。
「うちはずっとカレーは豚肉だけど、宗ちゃんの家は?」
「僕の家も豚肉だよ」
「やっぱり豚肉のカレー美味しいよね〜」
となりのほのかは楽しそうに笑いながら、じゃがいもの皮を剥き始めた。
他のカレーに入れる食材も準備し終えて、鍋で炒める。
「美味しそう〜」
まだ炒めているだけなのに、となりでほのかはそんなことを言った。