三次元彼氏。
水を入れて、煮立ってきたところでほのかを呼ぶ。
「ほのか、ルー投入」
「アイアイサー」
ほのかがルーを入れ、かき混ぜてさらに煮込む。
そろそろ出来上がる頃に、僕は重大なことを思い出した。
「…ほのか」
「ん?」
「ごはんは?」
「………あ。」
今の今まで、肝心の白飯の存在を忘れていた。
「ちょうど昨日、冷凍してあったごはん食べきっちゃったし……炊くしかない」
「ごめん、僕も冷凍のストックないや…」
「大丈夫、炊けばあるから」
なんでごはんのこと忘れてたんだろ〜、とこぼしながら、彼女は準備を始めた。
「ルーのほうはできたから、後はごはん炊き上がるの待つだけだよ」
「2人で作ると速いね〜、宗ちゃん手慣れてるし」
「そんなことないよ、カレーは作るの簡単だから」
炊き上がるまでにまだ少し時間があるので、僕達は一旦テーブルに戻る。
「さっきから宗ちゃんは何読んでるの?」
「ん? 僕の1番好きな作家の小説だよ」
そう答えて、バックカバーを外して表紙を見せる。
「あー、これ何か聞いたことあるかも、結構有名?」
「いや…どうだろう、結構映画化とかされてる作品多いから、それに比べたらそんなには知られてないかも」
「んー…じゃあ何で知ってたんだろう……?」
首を傾げた彼女は、テーブルに置いてあるスマホを手に取った。きっとさっきまでやっていたゲームの続きだろう。