三次元彼氏。
彼女がお茶を注いでくれたコップをテーブルに持っていき、またそれぞれ、ソファにもたれ掛かりながらさっきの続きを始める。
僕の読んでいる小説は後1時間もしないで読み終わってしまいそうだから、次は持ってきたもう1冊を読もう。
そう思いながら、僕はまたページをめくった。
1冊目を読み終えてとなりのほのかを見ると、真剣な横顔でスマホの画面を見ていた。
「……っあ〜」
彼女はソファの背もたれに頭を倒して声を漏らした。
「また新しいゲーム?」
「うん、制限時間内に料理するゲーム、最近始めたんだけど難しすぎてこれ」
画面を見ると『GAME OVER』の文字。
「もうこれ超細かいんだよ、千切りとかみじん切りとか、弱火とか強火とか。やっとレベル89いったのにここから全然クリアできない…」
「れ、レベル89…?」
最近始めたのにそんなレベルまでいけるの……!?
「うん、正直レベル80までは余裕だったから、もうちょっと難しくならないかなあって思ってたら81から急激に難しくなったの。急に本気出してきた」
彼女はまたスタートボタンを押して再開した。
指の動きが尋常じゃない速さで、僕は少しの間、圧倒されて固まって見ていた。