三次元彼氏。
「僕も、友人とカラオケ初めて行きました」
「え、ほんとですか? 結構人気者っぽい感じしてたので、カラオケなんて飽きるほど行ってるのかと…」
「全然そんなことないですよ。高校の時だって少数の友人といつも一緒にフードコート行くし、そもそもあのへんカラオケなかったじゃないですか」
「あ、そうだった…」
忘れてた、と言って、彼女は恥ずかしそうに顔を俯けた。
その姿が、何だか可愛いと思った。
「あの………、」
「ん?」
彼女の方を見ると、なおも下を向いたままだった。
「あ、あの………な、名前……、そ、宗って、いうんですか…?」
「えっ」
「あっ、ごめんなさい、何でもないです。………似てたので少し気になって…」
彼女は慌てて両手を顔の前で勢いよく振った。
「宗っていうのは、僕の名前が長いからって早瀬にそう呼ばれてるんです。本当は宗一郎っていいます、滝本宗一郎」