三次元彼氏。
『早瀬に代わってあげるよ。早瀬、滝本くんが交際宣言の電話くれた』
「えええっ、ちょっ、ちがっ」
『おー宗くん、わざわざ電話くれなくてもよかったのに』
「だから違くて、」
天音さん…!!! 言い方が悪いよ交際宣言なんて………!
『よかったじゃん』
「だからそうじゃなくって、僕、告白とかするつもりじゃなかったのに、気づいたら、…その、好きって、言ってて………」
『宗くん話しながら照れるなよ、こっちまで照れるじゃん』
「いや、照れてなんか…っ」
声だけで何となく解る、今早瀬がどんな顔をしているのか。
電話しない方がよかったかも、何かものすごく恥ずかしくなってきた……………
『まあ、いんじゃない?』
「…え?」
『宗とほのかちゃん、何となく雰囲気とか似てるし、お似合いだと思うけど』
「え、」
『今はそんな感じじゃないかもしれないけど、付き合ってみたらほのかちゃんにベタ惚れかもよ』
「え、」
『じゃあ俺らこれから映画だから。じゃあな、また明日』
「えっ、ちょっと待っ」
切れた……………
天音さんとのトーク画面に戻ったスマホをぼーっと見つめる。
……ああ、僕は、どうしてこんな形で三上さんと付き合うことに……………
僕はしばらくその場から動くことができなかった。
( ある日の昼下がり )