三次元彼氏。


ほのかは、僕が初めて付き合う人だと言っていたけど、だからなのか、男を部屋に入れるということに関して何も思っていないらしい。

彼女の振る舞いは、大学で話している時と全く同じ、至っていつも通りだ。

そう思ったら、昨日の早瀬の話なんて全然気にならなくなった。むしろ彼女が何も思わない人でよかった………



安心して本棚を見ると、漫画が多いように見えた。背表紙しか見えないけど、何となく。


「ほのかは、漫画好きなんですか?」

「はい、大好きです! ……あった。やっと見つけた、昨日見たばっかりなのに」


そう言って彼女が僕に見せてきたのは、1冊の漫画。


「これの…………これ、このページ! 見てください!」

「えっ、あっ、はい」


今までに聞いたことのない声量の彼女に手招きされ、僕は圧倒されるがままに彼女が指したページを見た。


そこに描かれていたのは、端正な顔立ちをした、1人の男の人。

……これが何だ………?


「で、立ってください! これみたいに!」

「ええっ…?」

彼女は僕の腕を掴んで立ち上がらせると、先ほどのページの男の人と同じポーズをとらせた。


………な、何だこれは……………??



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