三次元彼氏。
「んあー、天音か。 ……スタバ今日だっけ?」
「そうだよ! 昨日LINEしたじゃん明日放課後行こうって」
「…そーだっけ、忘れてた」
「は?」
こ、怖……。
眉間にシワを寄せ、早瀬を睨みつける女子。
「…眠いから今日パスしてい? 今もう歩く気力すら…」
「今日行かないならこの先ずっと奢らすよ」
「行きます」
つ、強……。
さっきまで死んでいた早瀬の目が生き返ったように開いた。
「あ、ガッキー、私行くね」
「あ、うん、ありがとね探すの手伝ってくれて」
「ううん、また明日」
「ばいばーい」
後を追ってきた小柄な女子が手を振り、講義室を出て行った。
「ホラ行くよ」
「まって俺スマホどこやった?」
「知らないよ何で持ってないの」
「……あ、早瀬、スマホ、落ちてる」
「え?」
恐らくさっき引っ叩かれて起き上がった拍子に落ちたのだろう、早瀬の足元に黒いスマホが転がっていた。
「あーほんとだ、ありがと宗」
「い、いや何も」