三次元彼氏。
5 好きなもの
「宗とほのかちゃんてさー」
「ん?」
「何で付き合ってんのにお互い敬語なの?」
ある日の昼休み。
いつもの4人で学食で昼食をとっていたところ、早瀬が唐突に言った。
「え…何でって…特に理由は…」
「何か距離感じるよなー。2人付き合ってどれくらいだっけ」
「……1ヶ月、くらいかな」
「そろそろお互い慣れたんじゃないの? まだ敬語でよそよそしいカンジなの?」
「え…いや、そういうわけでは、」
……今まで全く違和感なく話していたけど、そういえば、言われてみればお互いずっと敬語だった。
気にしたことすらなかったな………。
「2人がいいならいいんじゃないの? 早瀬が口出しすることでもないでしょ」
「そうだけどさー、せっかくお互い仲良く名前呼びしてんのに敬語って…なんつーか、アンバランスっていうか」
……そういう、ものなのか?
まあ確かに、早瀬や天音さんとは普通に話しているけど、ほのかにだけ敬語だ。
「まあいいでしょ、そこは2人の自由なんだから。2人がその方が楽ならそれで全然いいと思うし」
ごちそうさま、と手を合わせた天音さんは、残っていた水を飲み干した。