三次元彼氏。
「さっさと書いて出してきなよ、しょうがないから待っててあげる」
天音さんが、やれやれといった感じで言った。
「まじ? じゃあ秒で書いて出してくるわ!」
「秒クオリティじゃ落単だぞ」
「ちゃんと書きます!」
早瀬はそのまま講義室を出て行った。
「ったく、あの内容を5行でまとめられんのがすごいわ。…ごめんね2人、あ、先行ってる? カフェの場所送るよ?」
「あ、ガッキーごめん、私もちょっと、出してなかったレポート出してくる」
「あ、そうなの? じゃあ、滝本くんと下のホールで待ってるね」
「うん、解った」
そしてほのかも講義室を出て行った。
「…じゃあ滝本くん、下行こう」
「あ、うん」
天音さんに続き、僕も講義室を出た。
「……」
「……」
天音さんと2人になる機会は今まで一度もなかったので、どういう話をしたらいいのか解らない。
2人でホールのベンチに座ったものの、会話はなく沈黙が続く。
「…滝本くんさ」
「えっ、あ、はい」
「ほのかといつもどんな話してるの?」
急に口を開いた天音さんは、いきなりそんなことを訊いてきた。
「…え……いつも……、普通に、講義の話とか、くらいかな」