三次元彼氏。

そう言って、少し照れくさそうに笑って、彼女はまたお茶を1口飲んだ。


……それって、その漫画の人がとなりにいる感じがするってことだよね………?


「あっ、もちろん、その主人公の女の子の方が何万倍も可愛いんだけどね」


少し照れたのは、僕にじゃなくて、その男の人にってことだよね………?


「宗ちゃんのこと気になって好きになったのも、何か似てるなあって思って。二次元のはずなのに三次元にいる…! って思ったら、今こうして付き合っているのが夢みたいで…っえ?」

僕は、彼女を抱き締めた。

悔しくて、何か少し悲しくて、その気持ちに突き動かされるまま、彼女の体を腕いっぱいに抱き締めた。


「……そ、宗ちゃ…」
「今ほのかのとなりにいるのは、その人じゃなくて、僕だよ」

彼女からは何の反応もない。

「…その漫画がきっかけで、僕を好きになってくれたのは嬉しいけど……僕はその人じゃないし、二次元でもない」

「……う、うん…」

戸惑っているような彼女の声がすぐ近くで聞こえた。


「…その漫画の人が好きなのは解ってるけど………僕は、その人じゃないから……」

「…ご、ごめんなさい、宗ちゃん…」

「僕のこと見て。僕をその人に重ねて、照れたりとか、しないで…」

「っ、」


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