三次元彼氏。
………僕達、同じだったってこと……?
………お互いちゃんと言葉にしていなかっただけで、本当は、同じ気持ちだったってこと…………?
そうだと解った瞬間、目の前で恥ずかしそうに小さくなった彼女が、ものすごく愛おしくなった。
「……ごめん、ほのか、もう1回、ぎゅってしていい?」
「えっ」
顔を上げた彼女を見たら、返事なんて聞く前に抱き締めていた。
……頑張ろう、ほのかの好きな漫画の人に負けないように。
「……あの、宗ちゃん」
「ん?」
「手……繋ぎませんか…?」
「っ、」
公園を出て駅に向かう途中、ほのかが恥ずかしそうにそう言った。つられて僕の顔まで赤くなる。
「…いいよ」
…こういうところも、ちゃんと僕がリードしなきゃいけないよな…頑張らなきゃ。
「…そういえば、ほのかさっきからずっと敬語使ってるから、今度罰ゲームね」
「えっ、あっ…」
照れ隠しに違う話題を出したら、ほのかは、忘れてた、と言わんばかりに目を開き口をぽかんと開けた。
「えっ、いや、だってあれは、敬語になっちゃいますよ…じゃなくて、なっちゃうよ…!」
「罰ゲーム、何にしようかなあ」
「そっ、宗ちゃん…!」
彼女と繋いだ左手が熱くて、けど嬉しくて、となりで「お願い、許して!」と懇願する彼女が愛しくて、僕の口許は自然と緩んでいた。
( 好きなもの )