三次元彼氏。
「ごちそうさまでーす、じゃあ遠慮なくトッピングたくさん頼んじゃお」
「え」
いつもの早瀬と天音さんの楽しげな会話を聞きながら、僕も自分のテキスト類をリュックにしまう。
「ほのか、行こう」
「…」
………あれ? 反応がない。
「…ほのか?」
「あっ、ごめん、行こう!」
ぼーっとしてたみたいだけど、大丈夫かな。
早瀬と天音さんの後ろを歩きながら、彼女の顔を覗き込んだ。
「えっ…どうしたの、宗ちゃん」
「いや…さっき、ぼーっとしてるっぽかったから、大丈夫かなと思って。具合悪い?」
「そ、そんなことないよ、大丈夫、元気!」
そう答えた彼女は、いつも通り柔らかく笑った。大丈夫ならよかった。
大学の裏にあるラーメン屋に入ると、店内には学生がたくさん座っていた。
「お、早瀬じゃん! 何してんの、ダブルデート?」
その中でラーメンを食べていた男子学生のグループの1人が、奥のテーブルから早瀬に声を掛けた。
「ちげーよ勉強してたんだよ」
「え、いつも講義突っ伏して寝てるお前が?」
そのテーブルからはどっと笑いが起きる。早瀬は「うるせっ」と笑い、入口横の券売機に向かった。