三次元彼氏。

早瀬が「さあ好きなの頼め!」と券売機にお金を投入すると、天音さんは早速食券のボタンを押す。

「玉子とチャーシューとネギ追加していい?」

「『いい?』って訊きながら既にボタン押してんじゃん」

「バレた」

「ほのかちゃんも、好きなだけ食っていいよ、遠慮は御無用!」

「ありがとうございます」


そして全員が早瀬の奢りで食券を買い、店員さんにそれを渡してテーブルに移動した。


「さっきのあの人達、うちの大学?」

水を1口飲んだ天音さんが早瀬に訊いた。

「そうだよ、確かバスケ部のやつら。グループワークで一緒になった時くらいしかちゃんと喋ったことないけど」

「え、同じ学科なの? 全然解んなかった」

「まあ人数多いからな」


そしてしばらくすると、ラーメンが運ばれてきた。

「いただきまーす!」

みんなで手を合わせ食べ始める。

「あーっ、勉強後のラーメン沁みる〜〜」

「え、このチャーシュー美味しい。過去イチかも」


目の前の2人の会話を聞く僕のとなりには、いつものようにたくさん食べるほのか。今日はラーメンとチャーシュー丼と餃子。

「ほのか、餃子1つもらっていい?」

「いいよ、これすごく美味しい」

もらった餃子は、羽がパリパリで中に肉がたくさん詰まっていて、1つだけでも食べ応えがある。

「ホントだ、すごい美味しい」

そう言うと、彼女は嬉しそうに「でしょ」と笑った。


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