……秘密があります
 


 帯刀と士郎が帰ったあと、さて、寝る準備をするか、と思ったとき、

「羽未」
と窓の外から声がした。

 此処は二階だ。
 霊か、と思ったが、士郎だった。

 窓を開けると士郎が自分の部屋の窓を開けていて、棒状のお菓子のたくさん詰まったビニール袋を持っていた。

「食べるか?」
と一本差し出し、訊いてくる。

「戦っているうちに、なにが正義かわからなくなったヒーローみたいな駄菓子」

 ……新製品を作ろうと試食を繰り返しているうちに、なにが美味しいのかわからなくなった感じの駄菓子なんだな。

 たまに遭遇するよな、と思いながら、
「ほら」
と士郎が投げてきたお菓子を受け取った。
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