……秘密があります
「私がさちこです。
羽未さん」
帯刀の実家のイングリッシュガーデンで、さちこはそう言い、微笑んだ。
名家の奥様というよりは、バリバリのキャリアウーマンという感じだった。
「羽未さん、私を帯刀の彼女と間違えただなんて、若返った気分だわ」
とさちこは笑う。
「……姿を見て間違えたわけじゃないからな」
と低い声で帯刀が言っていたが。
「でも、お母さんというより、お姉さんに見えます」
別にお世辞でもなく羽未が言うと、
「まあ、羽未さん。
いいお嫁さんが来てよかったわね、帯刀ーっ」
さちこは、ほほほと笑いながら、バンバン帯刀の肩を叩いている。
帯刀の父も一緒に居たのだが、さちこさんの勢いが凄すぎて、穏やかに微笑んでいた記憶しか残っていない……。