……秘密があります
 そのあと、
「いいお寿司屋さんがこの近くにあるのよ。
 呑めるんでしょ、羽未さん」
と言われ、

「あ、いいですねー」
と言って、寿司屋に行った。

 ……いい寿司屋だった。

「……お前、寿司屋決めるのと同じノリで決めてよかったのか、式場」
と帯刀の方が不安そうに訊いてくる。

「いや、こういうの勢いですからね」
とそういえば、まだ結婚を承諾してもいないのに言ってしまう。

 お互いの気持ちはまだ定まっていない気がするのに、話がどんどん進んでいくこの感じ……。

 始まりの順番もおかしかったが、また、此処でも順番がおかしくなりつつあるようだ、と羽未は思った。

「で、でも、いいお寿司屋さんだったら、きっと式場もいい式場ですよ」
と羽未は無茶を言う。
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